※ 埼玉県平和運動センター「2011年度活動方針」から抜粋
はじめに
大きな期待を持たれて船出した連立政権でしたが、国民の期待に応えているとはいえません。普天間問題で迷走したあげく、従来の日米安保の関係を継続、強化しようとしています。新安防懇報告に基づく防衛計画の大綱や武器輸出3原則、非核3原則見直しの動きも危険です。また尖閣列島での漁船衝突事件をきっかけに、偏狭なナショナリズムが一気に高まりました。衝突画像を公開した海上保安官を賛美する風潮も生まれましたが、戦前を想起するまでもなくファシズムに通じるものであり、軽視できません。私たちは「武力で平和はつくれない」という立場で憲法前文や9条を活かしていきます。
埼玉平和センターはこの1年、各構成組織の協力を得ながら活動してきました。これまでの活動に自信を持ちながら、2011年は一歩前に踏み出したいと思います。
1999年12月に平和・人権運動を担う労働組合の組織として活動を始めて11年が経過し、今回第12回総会を迎えることができました。7年前から民主団体や個人にも加入を呼びかけるようになりましたが、その責任はますます大きくなっています。
そこで、埼玉平和センターは、2011年度の重点課題を次のように設定します。
1,埼玉県平和運動センターの名にふさわしい平和・国民運動の一層の推進を図ります。各構成組織と各ブロック、地区から平和憲法の改悪に反対する運動を強化します。
2,組織の拡大、強化を実現します。新規加入組織と個人会員の拡大に努力します。 3,制度・政策要求、学習活動の推進を図ります。
4,中央の「フォーラム平和・人権・環境」(平和フォーラム)や関東ブロックをはじめとする各都道府県の平和運動センター、全国基地ネットワークとの連携の強化を図り、平和・国民運動を推進します。
Ⅰ、平和・国民運動の前進
1,護憲運動の強化
憲法の改悪に反対し、平和と民主主義、人権を守る運動を今後とも強化します。とりわけ平和フォーラムが提起する諸課題への取り組みを推進します。
今年、改憲手続き法が施行されました。今日の政治情勢のもとで直ちに憲法改正が発議されることは考えにくいとはいえ、法的には憲法審査会を始動させることは可能となりました。憲法審査会の始動に反対するとともに、武器輸出3原則や非核3原則見直しなど、"なし崩し改憲"に反対します。また「国民保護計画」に基づく労働者・市民に戦争協力を強いる動きに反対します。
在日米軍の活動を「極東の安全」「中国や北朝鮮への抑止力」のためと説明されてきましたが、その欺瞞性が明らかになっています。安保改定から半世紀を経た現在、その実態は大きく変容しています。米国はアジア・太平洋地域を統括する陸・海・空・海兵の4軍の司令部と実戦部隊を日本に集中し、「不安定の弧」と呼ぶ東北アジアからアフリカ大陸東岸まで軍事介入する際の中軸基地にしようとしました。沖縄での基地新設や横須賀への原子力空母の配備はその一環です。その米軍を自衛隊が支援することは「専守防衛」の範囲を逸脱し、憲法が禁じる「集団的自衛権」の行使につながるものです。そのため県内基地移設や沖縄戦の史実改ざんに反対して闘う沖縄県民と連帯します。5月の平和行進に積極的に参加するとともに、沖縄平和交流についても取り組む方向で検討します。
またアジア蔑視の差別観と貧困な人権感覚を払拭するためにも、政府に「過去の清算」や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との日朝国交正常化に向かうことを求めます。朝鮮学校への差別なき速やかな「高校無償化」適用を求める取り組みを進めます。
11月の護憲大会を受け、ブロックでの護憲集会が取り組まれていますが、今年度も地区平和センター(地区労)を軸に護憲の取り組みを進めます。
2,原水禁運動の強化
これまで日本政府は核廃絶を訴えながらも、一方で米国の「核の傘」に依存するという矛盾した政策をとり続けてきました。「核密約」の存在が公式に明らかになりましたが、これを契機に「非核3原則」を空洞化させようという危険な動きも強まっています。政府は被爆国の責務として積極的に世界に平和と核軍縮のリーダーシップをとることを宣言しましたが、民主党政権の具体的な動きに注目するとともに、私たちも積極的に働きかけていきます。
一方、ヒロシマ,ナガサキの被爆者は、原爆症の認定を求めて集団訴訟に訴えてきました。ようやく昨年8月、日本被団協と政府・自民党との間で「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係わる確認書」を取り交わしました。しかし、あいまいな点や課題も多く、被爆者の高齢化が進むなかでさらなる支援が必要です。被爆者組織(埼玉では通称「しらさぎ会」)の活動を支えていきます。
被爆者の生の声を聞く機会を増やすことなどに留意しながら、21世紀を担う若い世代への着実な運動継承を図ることが重要な課題です。合わせて埼玉県民の貴重な財産である&原爆の図丸木美術館への支援を進めます。「ヒロシマに学ぶ埼玉子ども代表団」は来年18回目を迎えます。昨年、これまでの参加者を対象に"同窓会"を開きましたが、本年度も実施する方向で努力します。またカンパ活動を実施します。
また非核平和行進や原水禁大会とほぼ同時期に取り組まれている原爆絵画展、青年の反核平和の火リレーとも連携を強めていきます。さらに「非核自治体宣言」の採択と実効ある取り組みを求めていきます。
ところで日本には53基の原発が林立していますが、原子力政策の行き詰まり、破綻は明らかです。青森県六ヶ所村の再処理工場は原発から出た使用済み核燃料を処理してウランとプルトニウムを取り出す施設ですが、事故・トラブルで竣工が2年延期されました。さらに高速増殖炉もんじゅも炉内中継装置の落下事故で出力運転試験を再開するめどは立っていません。
日本の原子力政策の転換を求める埼玉での闘いは原発立地県などと比べ取り組みが十分とはいえません。反省しながら、脱原発に向け取り組んでいきます。
3,部落解放県共闘会議の強化
狭山裁判は第3次再審請求の申立てから4年余りが経過し、弁護団は多くの新証拠を提出し、東京高裁に事実調べと証人尋問、東京高検には証拠開示を強く求めています。昨年9月から東京高裁と東京高検、弁護団による協議が始まりました。5月には36点の証拠が開示されましたが、12月の5回目の三者協議を前に弁護団は新証拠を裁判所に提出しました。再審開始と証拠調べを求める世論を高めていかねばなりません。
事件から47年余り経過しながら、支援の輪を広げ粘り強く闘われている狭山闘争に連帯していきます。狭山事件の当該県として、また部落解放県共闘の一員として、解放同盟県連や「狭山事件を考える住民の会」などと連携し、再審を求めて闘います。とりわけ、若い層に運動のすそ野を広げる努力を重視します。
また部落解放・人権確立制定要求運動に連帯する取り組みを強化します。後を絶たない悪質な差別事件を許さないため、「人権侵害救済法」の制定に協力していきます。
4,埼玉教育フォーラムの強化
教育基本法の改悪、そして新自由主義に基づく構造改革路線により教育現場に管理や競争主義、格差、差別の構造が持ち込まれています。保護者の経済問題や雇用不安は子どもの生活や就学にも大きく影響し、「子どもの貧困」が深刻な問題となっています。給食費の支払いができない家庭が増え、授業料滞納による中途退学者が急増しています。そのうえ、様々な補助金の削減により教育費の確保が困難な状況が生まれています。
来年は中学校教科書の採択年にあたります。「新しい歴史教科書をつくる会」が関与した教科書などを採択させないよう埼玉教組、埼玉高教組と連携しながら取り組んでいきます。
子どもの権利や成長のために「埼玉教育フォーラム」に結集して憲法理念の実現をめざします。
5,食・みどり・水と環境を守る
埼玉県民会議との連携
相次ぐ食品偽装の発覚や地球温暖化問題が世界的に深刻化するなかで食料や水、森林、健全な地域社会の大切さが再認識されています。
しかし、水田農業は米価の下落と飼料高騰、酪農・畜産は異常気象と穀物奪い合いによる飼料価格の高騰でコメ作りの放棄、倒産続出が予測される事態となっています。さらにWTO農業交渉やFTA日豪交渉の結果や「関係国と協議を開始する」と閣議決定した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の動向次第では安い輸入農産物が国内市場を席巻し、国内農業に致命的な打撃を与えかねません。農業基盤の維持強化によって食料自給率の向上と食料安全保障の確保を図ることが求められています。
みどり、水についてもその重要性が指摘されながら、現実には切り捨て、民営化の流れが強まっています。
新年度も食・みどり・水と環境を守る埼玉県民会議と組織的には並存しながら、活動していくこととします。また、埼玉平和センターは、中央のフォーラム平和・人権・環境の食・みどり・水委員会の窓口としての役割を果たしていくことにします。
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